
一般社団法人 大阪府訪問看護ステーション協会
会 長 長濱 あかし
すべての人に、安心と尊厳のある在宅療養を
昨年は訪問看護団体設立30周年という節目を迎え、記念祝賀会や記念誌の発行に際し、多くの方々にご協力をいただきました。おかげさまで無事に執り行うことができ、この場をお借りして改めて感謝申し上げます。
さて、訪問看護を取り巻く環境は大きく変化しており、医療・介護との連携はもとより、地域包括ケアシステムの要としての役割がますます重要になっております。
日本看護協会が「看護の将来ビジョン2040 ~いのち・暮らし・尊厳をまもり支える看護~」を公表しました。「病院中心」から「地域・生活中心」へと移行する医療提供体制の中核として、訪問看護は、今後ますます重要になります。
・いのちを守る
全世代の方への訪問看護、急変時の早期対応と適切な医療機関との連携、終末期ケア・看取りの支援
・暮らしを支える
生活の場で、生活支援と医療的ケアを一体化した看護の提供
・尊厳を守る
最期まで「その人らしく」過ごすために、利用者の意思を尊重したケアの提供・人生会議の実践、個別性を重視したケア計画と対応
このように、訪問看護は、看護の将来ビジョンを「日常の現場」で具体的に実践する最前線にあるといえます。
一方で、皆さまもご存知のように、訪問現場におけるカスタマーハラスメントの問題も深刻さを増しております。当協会では、現場の声を受け止め、相談体制の整備やガイドラインの策定・情報の共有、行政や保険者に対する制度的課題の提言などの取り組みを、他団体と協力し、進めてまいります。
働く人が守られてこそ、安心・安全な在宅療養支援が実現します。訪問看護師が安心して働ける環境がなければ、質の高い看護の提供は成り立ちません。人権と専門性を尊重し、すべてのステーションが誇りを持って訪問看護に従事できる環境づくりを、推進してまいりたいと思います。
どうぞ引き続き、皆様のご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2025年7月